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ラジオ放送
| 放送日 | 2025年10月6日(月)9:08 (再)2025年10月7日(月)9:08 |
| 学生記者 | 橋本翔、山口温哉、寺岡展 |
| 取材先(SDGs推進企業等) | 株式会社コーチョー |
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取材レポート
寺岡:こんにちは。生物資源学部二年、寺岡展です。
山口:経営情報学部一年、山口温哉です。
橋本:経営情報学部一年,橋本翔です.
寺岡:今日私たちは「株式会社コーチョー」に来ています。SDGsの目標達成に向け株式会社コーチョーさんがどのような取り組みをなさっているのか、取締役副代表の渡邉俊さんにお伺いいたします。渡邉さん、よろしくお願いいたしします。
それではまず株式会社コーチョーのメインの事業についてご紹介いただけますでしょうか。

渡邉副社長:われわれは、ペットシーツであるとか猫砂を中心としたペットトイレタリー製品の製造販売を主力事業として行っている会社になります。またそれとは別、福祉事業にも力を入れておりまして、在宅介護者向けの福祉用具レンタル事業を幅広く展開しております。
寺岡:では、今お伺いしたメインの事業が、環境的・経済的・社会的にどのように配慮されているのか,それぞれ詳しくお話を伺っていきます。
環境

寺岡:ではまず環境面についてお伺いいたします。株式会社コーチョーでは長年ペット用品の製造を続けてこられていますが、その中で環境への配慮について、特に意識して取り組んでいらっしゃることは何でしょうか。
渡邉副社長:はい、一番わかりやすい取り組みで申し上げますと、もともと産業廃棄物として処理されていたものを原料として、再び製品としてよみがえらせるというアップサイクルの仕組みを導入しております。具体的には猫砂の生産において,おからやヒノキといった副産物を利用しています。これらは通常であれば産業廃棄物として廃棄されてしまうものなのですが、それを資源として活用することで,新たな製品に生まれ変わらせています。特にヒノキについては,「富士ヒノキ」というブランドに認定された良質な木材の加工時に発生するおが粉を使用しており、地域資源の有効活用にもつながっています。つまり、捨てられるはずだったものを利用し、猫砂として世の中に送り出しているのです。
寺岡:なるほど。産業廃棄物を再利用しているのですね。ところで、今お話に出た「おから」を利用されているとおっしゃいましたが、おからというと食材としても利用されるものですよね?なぜそれが廃棄される対象となっていたのでしょうか。
渡邉副社長:はい,確かにおからは食材としても利用可能ですが、実際には「おからと豆腐の消費量のミスマッチ」が大きな課題でした。日本における豆腐の消費量は非常に大きくなっているのですが、一方で、豆腐を製造する際に必ず大量に副産物として発生するおからは、なかなか食べられるものではなく、非常に腐りやすい性質を持っています。その結果、大量のおからが食べられずに廃棄されるという状況が長く続いてきました。
我々はそこに目をつけさせていただきまして、もともと水を非常によく吸収する性質を持っていますので、これを活かして猫砂の原料に利用し、生産を開始いたしました。こうして食品としての用途が限られていたおからを新しい形で有効活用し、環境にも優しい猫砂の製品化を進めることができました。
寺岡:なるほど、よく分かりました。つまり消費材を作っているメーカーとして、本来であれば廃棄されるものを、副産物と考え原料化し、それを消費者にとって便利な製品に変えるという取り組みが御社のビジネスにしっかりとマッチしていたということですね。では、このような環境面への配慮はSDGsの17の目標のうち、特にどの目標の達成を目指している活動だとお考えでしょうか。
渡邉副社長:はい、「12番 つくる責任・つかう責任」です。
寺岡:ありがとうございました。
社会
山口:続いて山口が、経済面について伺います。猫砂とペットシーツをメイン事業としたきっかけは何でしょうか?

渡邉副社長:はい。我々創業が1963年で、60数年前に立ち上がった会社です。創業の事業が生理用ナプキンの製造から始まり、吸水体事業をメインとしてきました。いろいろとトライしたんですよ。ちょうど30年くらい前に、松茸輸送中に汁が出てしまってそれを包む資材であるとか、スタジアムに敷くシート、雨の日に椅子の上にシートを置けば座れるというようなスタジアムシートであるとか、いろんな吸水体を試した時期がありました。そのうちの一つにペットシーツがありまして、当時はまだワンちゃんといえば番犬という時代でした。シーツというものが市場にほとんどなかったんです。ただ少数の方々が家の中で犬を飼っていて、その当時は新聞紙をくしゃくしゃにして置き、そこにトイレをさせるというような時代でした。そんな中でペットシーツが便利なのではないかということで、日本で最初に量産化しました。その後、生理用ナプキン、大人用紙おむつの製造を経て、ペットシーツを軸としたペット事業に展開し、猫砂の生産も行っております。現在はトータルのセットメーカーとして活動しています。
山口:福祉事業部があると伺ったのですが具体的にどのような活動を行っているのでしょうか?
渡邉副社長:はい、福祉事業部は今から約20年ほど前に立ち上がった事業です。事業形態としては、車椅子やベッドといった介護用品のレンタルを行っています。当時、コーチョーのブランドとして大人用紙おむつを製造販売していましたが、最終消費者さんの顔が見えないという思いがあり、在宅介護者向けのレンタル事業を開始したという背景があります。さらに物販も行っており、おむつ、杖、転倒しづらい靴などを取り扱っています。それに加えて住宅改修も行い、手すりやスロープの設置といったサポートもしています。現在は2店舗を運営しています。
山口:企業として成長するため意識して取り組んでいることは何でしょうか?
渡邉副社長:はい、我々は60年以上一貫して吸水体事業に取り組んでおります。もともとは人用のナプキンやおむつを製造してきましたが、その品質をペットにも応用し、品質管理や製造工程の管理を徹底しています。また最終消費者様をお客様と捉え、お客様の声を反映した製品づくりを意識しています。
山口:ではそれらの活動が、SDGsの17の目標のうち何番の達成を目指している活動とお考えでしょうか?
渡邉:「17番、パートナーシップで目標を達成しよう」です。
山口:ありがとうございます。
社会

橋本:つづいて橋本が社会面について伺います。コーチョーさんは、やさしさを形に、ケアが当たり前になる社会を形に、というスローガンのもと様々な活動をしてらっしゃると思うんですけど、社会的配慮について意識して取り組んでいることは何でしょうか?
渡邉副社長:はい、私たちの企業はそこまで大きな企業ではありません。ですので,できることから少しずつ活動を始めております。まずは先ほどお話した廃棄物を原料とした製品化であるとか、女性が働きやすい環境づくりを意識しております。具体的には、工場に採用された女性従業員の方に女性目線からの問題点を指摘してもらい、翌日には改善するように努めています。これまで女性目線の意見で改善できた点を上げますと、まず男女トイレと更衣室を設置するという当たり前のところから、機械の操作機器の位置を低く設定したり、力がなくても働けるように工具を使わなくてもよいようにしたり、アシスト機器を導入したりですね。その結果男性の従業員も働きやすくなったり、女性の方が増えたので工場内や男性の身だしなみが清潔になりましたね。今では三分の一以上が女性従業員の部署もあります。
また、一番長い活動としては、特別支援学校の職業訓練の受け入れを25年以上続けております。また地元の特別支援学校の富士宮分校ですけれども、全国に先駆けてサッカー部が作られたということで、ご縁もあって現在では障害者サッカー連盟のもう一つの高校選手権をはじめとした活動のサポートを行い、障害者でもスポーツができる環境を作りたいという風に考えております。
そのような活動により、わが社にも障害を持った従業員がいるんですけれども、部活に励んだ経験のある方はやっぱりガッツがありますね。優秀な方が多いです。そういった点からもどんな人でもスポーツに打ち込める環境を作っていきたいですね。
橋本:株式会社コーチョーさんは非常に早い段階から、SDGsが叫ばれる前から、そういった社会的配慮を行っていたと思うんですけれども、意識していることはあるんでしょうか?
渡邉副社長:はい。私たちのスローガンであるやさしさをかたちに、これが全ての始まりかなという風に思っております。社員にもかなり浸透しているスローガンでして、従業員一同このスローガンをモットーに働いています。我が社では「ケア」が当たり前となる社会を「かたち」にしていくことが、私たちの使命だという風に捉えて活動を行っております。また創業者からの思いからですね。企業は地域の公器であるという考え方がございますので、事業を通じて社会に還元していく、そんな考え方を古くから持っております。
橋本:ありがとうございます。今伺った活動は、SDGsの17の目標のうち何番を達成しているとお考えでしょうか?
渡邉副社長:はい。「3番、すべての人に健康と福祉を」です。
橋本:ありがとうございました。
寺岡:今日は,株式会社コーチョーさんの取り組みについて環境・経済・社会の三つの側面からお話しいただきました。株式会社コーチョー・取締役副社長の渡邉さんありがとうございました。
