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(ラジオ番組アーカイブ)R6学生記者取材 No.16

放送日令和6年10月21日
学生記者中村葵
取材先(SDGs推進企業等)富士市立くすの木学園
ラジオ番組アーカイブ

取材レポート

 富士市大淵に拠点を構える「富士市立くすの木学園」を取材した。富士市民の方の中には公共施設のトイレで「くすの木」と書かれたトイレットペーパーを見たり使ったりしたことがある人も多いだろう。これらは、くすの木学園ブランドの製品だ。こういった製品の取り扱いを通じて、くすの木学園は、障害者に対し自立支援や働く場の提供をしている。
そんなくすの木学園で行われている事業の一つに「コアレックス信栄株式会社」との共同事業である「使用済みペーパータオルを含む 紙資源リサイクル活動」がある。この活動は富士市で初めて「富士市から未来を変えるプロジェクト」であるFuji3s(ふじさんえす)プロジェクトに選ばれた事業である。今回、くすの木学園のサービス管理責任者である櫻井俊明さんにお話を伺った。

中村:くすの木学園さんは持続可能な未来づくりに寄与するSDGs事業として、使用済みペーパータオルを含む紙資源のリサイクル活動をなさっていると伺いました。具体的にどのような事業かお聞かせいただいてもよろしいですか?
櫻井:富士市立くすの木学園におけるSDGsの取り組みの一つにRTPプロジェクトというものがあります。これは「リサイクル・トイレットペーパー・プロジェクト」の略称です。企業や学校、家庭から出る紙ごみをくすの木学園の利用者が回収し、コアレックス信栄さんに持ち込んで再生紙100%のトイレットペーパーに生まれ変わってもらい、再びくすの木学園で包装、梱包し製品化します。これを紙ごみを排出した企業や学校に購入していただくことで、紙資源の循環リサイクルを行うという活動です。この活動の一環として、ロゼシアターから出たペーパータオルを再利用する取り組みにくすの木学園としても関わらせてもらう事となりました。
ちなみに、令和2年度から5年度の4年間でくすの木で回収した雑紙の量は174,000㎏にもなり、これはトイレットペーパーに換算するとおおよそ116万個分に相当します。

中村:どのような思いでこの事業を取り組まれたのでしょうか?
櫻井:現在利用が広がっているペーパータオルは可燃ゴミとして焼却処分されています。これに課題を感じたコアレックス信栄・ロゼシアター・くすの木学園の三社が紙のまち富士市のゴミ問題の解決にくすの木学園の利用者が一役買えるのではないかと思い取り組みを始めました。

中村:再生紙100%のトイレットペーパーは何種類ぐらい取り扱われているのでしょうか。
櫻井:一般的なシングルやダブルなど5種類あり、これらにはエンボス加工がされているものもあります。また芯なしトイレットペーパーは130mありますので、防災の備蓄にも役立つので最近人気が出てきています。

中村:この活動を行っていく中で成果を感じることはありますか?
櫻井:富士市内から回収する紙ごみ以外にも全国の企業様も賛同してくださるようになってきました。全国から紙ごみが集まってきて年々その量が増えてきていることから成果を感じますね。
中村:成果を感じる一方で逆にもっと進めていきたいと思うことや課題だと思うことなどはありますか?
櫻井:まだまだ日々の生活の中で出る紙ごみを可燃ゴミとして排出してしまう方も多いと思います。より多くの方にRTPプロジェクトを周知していきたいと思っています。また、これらの活動は、障害のある方の賃金向上にもつながることであるのでもっともっと意義を伝えていきたいです。
中村:この事業を通してどのような未来をつくりたいとお考えでしょうか?
櫻井:どんな障害があろうと、循環型社会へ貢献できるし、自己実現に繋げられる、そんな世の中にしていきたいと思っています。
中村:なるほど、本日は素敵なお話をありがとうございました。
櫻井:ありがとうございました。

これら取り組みは、くすの木学園の雑紙回収だけに留まらず、富士市内の複数の障害者支援施設にも協力をしてもらい、雑紙回収を行っている。この事で、それら施設の障害のある方たちの仕事や工賃向上にも繋がっているそうだ。紙ごみを可燃ゴミとして処分してしまうにはあまりにもったいなく、また、多くの人への優しさが詰まった事業であることから、RTPプロジェクトを多くの人に知ってもらいたいと感じた。
なお、余談ではあるが、くすの木学園ではほうじ茶とコーヒーをブレンドしたドリップパック「Hoffee」(ほうひー)の生産・販売など地域産業を支援する取り組みも行っている。彼ら彼女らの社会貢献は止まる事を知らない。あなたも、これらの商品を手に取ってSDGsに貢献してみるのはいかがだろうか。
(取材:富士市SDGsプロジェクト学生記者 中村葵)

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