お知らせ

小中学校の授業と集合型職業体験で、新しいキャリア教育(まちの遊民社)

令和6年度事業結果

 「FUJI3Sプロジェクトエッグ認定(クラウドファンディング型)」を受けた「公教育と連動したキャリア教育パイロットプログラム」の令和6年度事業が完了しました。

 実施主体の一般社団法人まちの遊民者様が作成された報告書から、本年度の実施内容、成果、および今後の展望について紹介します。

事業概要

項目内容
事業名公教育と連動したキャリア教育パイロットプログラム
目的子どもたちが社会の仕組みや働くことの意義を学び、主体的にキャリアを考える力を養う
実施期間令和6年4月~令和7年1月
主催(共催)一般社団法人まちの遊民社、富士市教育委員会
協力株式会社日本総合研究所、企業、富士市内小中学校
対象富士市内の小中学生
パイロット校大淵中学校2年生、吉永第二小学校5~6年生

事業内容

学校向け説明会の実施

  • 令和5年11月29日に富士市フィランセにて説明会を開催(参加校:小学校5校、中学校6校)
  • 富士市教育委員会、学校関係者が参加し、カリキュラムの趣旨や進行計画を共有
  • パイロット校の募集

教員有志の勉強会の開催

• 令和6年2月~5月にかけて計4回、富士市教育プラザにて実施。
 開催日:第1回:2月13日(火)第2回:3月12日(火)第3回:5月30日(木)第4回:6月27日(木)

• 学校の教員と企業が参加し、学習内容や進め方について具体的な議論を実施。
 参加校:大淵中学校・吉永第二小学校・田子浦中学校・田子浦小学校・天間小学校・大淵第一小学校
 参加企業:株式会社日本総合研究所・川村病院

カリキュラムの試行

パイロット校

富士市立大淵中学校2年生94名
富士市立吉永第二小学校5~6年生32名
パイロット校

学校内授業

  • 株式会社日本総合研究所提供の教材を用い、動画視聴、グループワークを通じて知識を習得。
  • 教員が授業を実施。
  • 学習内容(計4章): 社会の仕組み、税金の使い道、会社の利益、産業のつながり、仕事と役割

体験準備

  • 会社説明会: 求人票を参照し仕事内容の紹介。
  • 仕事への応募と面接: 児童生徒が志望職種の応募票を作成し、第一志望の面接を実施。
  • 配属発表とチームビルディング: 配属チームで役割分担と職場のルールづくり。

社会体験活動

 富士市フィランセに仮想のまちを設置し、各回約30名が8社32職種に配属になりロールプレイング。

  • 1社4名のチームで2つから3つのタスクに挑戦し、協力してゴールを目指す。
  • 納税や生活費の支払い、買い物、企業間の契約、決算作業をとおして経済の流れを体験。
  • 住民投票や健康診断、防災イベントへの参加など、市民としての生活を体験。
  • まちの共通テーマ「防災」について、防災に関連する仕事や防災イベント、防災グッズの買い物、防災倉庫の設置についての住民投票などを通して理解。
  • 各ブースに見守り相談員を配置。(相談員数:1日13名)

出展企業

 8社が出展し、各社がタスク設計に協力。防災協議会以外は実在の企業が出展。

  • 富士市役所
  • 川村病院
  • 三井住友銀行
  • 株式会社日本総合研究所
  • 株式会社コーチョー
  • TOKAIグループ(株式会社TOKAIケーブルネットワーク)
  • DCM株式会社
  • しくみ~なふじ防災協議会

パイロット校2校の授業スケジュール

成果と課題

成果

パイロット校の児童生徒、教員、協力企業から好意的なフィードバックを得て、カリキュラムの有効性を確認した。

  • 児童生徒の地域企業への理解:実在の企業の協力により、実践的な体験学習ができ理解を深めることができた。
  • 社会、経済のしくみへの理解:他社と関わりあう体験、納税や決算などの体験を通して、社会と経済のしくみに関心をもち、理解を深めることができた。
  • 社会参画への意識の向上:仕事の体験だけではなく、政治参画、経済活動、健康診断など市民の義務と権利の活動を体験し、重要性を知ることができた。
  • 防災意識の向上:まちの共通テーマを「防災」とし、防災の知識のインプットとアウトプットの両方に取り組み、自然なかたちで意識を向上させることができた。
  • 社会参画への関心:「社会の一員として他者と協力したい」、「よりより社会をつくっていきたい」など、自ら社会に関わることに意欲をもつことができた。
  • 出展企業の事業活動の理解:地域の中の企業の役割に関心を持ち、将来のキャリア形成に向け広い視点を得ることができた
  • 自己肯定感・自己有用感の向上:「自分の考えを他者に伝えられる」、「解決策を選択できる」など、意思をもち表現することへの自信を向上させることができた。
  • 教員の負担軽減と学校のニーズに合うカリキュラムの提供:授業案を含めた教材や、実在の企業の協力により作成したタスク、体験会場の提供により、担当の先生方からは「負担が軽かった」、「学校単独ではできない綿密なカリキュラムだった」、「安全な環境で挑戦することができた」「日頃と違う生徒の表れがあった」と評価をいただいた。
  • カリキュラムオーバーロードの解決への期待:キャリア教育だけでなく、主権者教育、消費者教育、金融経済教育などの要素が含まれているため、幅広い分野の学習がカリキュラム内で可能になる。

課題

 富士市の小中学校への本格的な提供を目指し、以下の取り組みを行う必要がある。

  • パートナー企業のさらなる開拓:カリキュラムに賛同し運営面・資金面で参画する協力企業を増やす。
  • プログラムの改善・拡充:学校の意見を取り入れ、児童生徒の発達段階に応じた体験内容と教材の充実をはかる。

まとめ

 先の見えない社会にはばたく子どもたちに、学校にいる間に育んでほしい力は「自身の人生をしなやかに切り開いていける」、そして「地域社会を支える」力ではないだろうか。本カリキュラムは3~4カ月の座学(グループワーク)と1日~2日間のロールプレイングで体系的に構成され、社会のしくみを深く理解できるとともに、児童生徒が将来のキャリアを主体的に考え、社会に貢献する意識を高めることができるキャリア教育のモデルとして期待できることがわかった。

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